雑記:全然読書してこなかったから、今更昔の語彙に楽しませてもらっている

神話の雑記

雑記です。

私がギリシア神話について記事にしたりまとめるうえで一番参考にしている本が

岩波文庫から出ている高津春繁先生訳アポロドーロス『ギリシア神話』です。

こちら初版が1954年と、もう七十年も前のことでして、読んでいると「なんだこの言葉」という訳語に出会います。

私は最近まで、つまり大学に入るまで全くと言っていいほど読書をしてきませんでした。

小学五年生あたりでは、ボーカロイド楽曲のノベライズが全盛期で、そのあるシリーズを読破したことはありますけど、あくまでライトノベル。

中学生の頃は遠藤周作にハマりましたけど、それもたまに読むくらいでした。

小説はそんなに読んでこず、かといって漫画を読んでいたかと言われるとそうでもない。

実用書の類には興味が無かったし、自己啓発本も昨年の夏に初めて触れました。

今でこそ、大学の授業だったり、神話の勉強だったりと本を読む機会が増えましたが、それまでは文章を読むことから酷く遠い場所にいました。

(とはいえ、自作の小説は書いていたのだから恐ろしい話です)

だから、本当に語彙力がないのです。

最近は語彙力アップのための日本語集のような本が書店で多く陳列されていますね。
大人のための語彙うんぬん、みたいなの。
ああいうの一度買ってみたけど、やはりあまり覚えていません。読み終えずに売った記憶。

やはり小説や物語の描写として、何気なく使われているのから摂取し、ものにしていくのが一番だと常々思います。

現代のプロの小説家さんたちの文章でも十分ですが、新しい言葉との出会いは古典にこそ満ちています。

ギリシア神話とは関係ないけど、訳本を読んでいて、そういう語彙との出会いが今更ながら楽しいです。

高津先生訳で目に留まった語彙として挙げられるのが。

「縊れた(くびれた)」

ギリシア神話ではよく登場人物(だいたい女性)が、ショックのあまり自殺します。

〇〇はその事実を知ると縊れた。
という内容がもうそこかしこで頻出します。
ギリシア神話の女たち、すぐ縊れる。

首を吊るとはいうけど、「縊れる」は現代じゃあまり聞かないのに、見開きページで一回は縊れられると、もう覚えざるを得ません。

まあ、「縊れた」くらいはいいでしょう。

一番言いたいのはこちら。

「相撲った(すまった)」

はい?

意味はわかる。漢字が意味を語っている。
(サンキュー表意文字)

だからさらっと読み進めてしまうけど、「相撲った」って何? 聞いたことない。

ヘラクレスもテセウスも、英雄たちの相撲うこと相撲うこと。

相撲したじゃダメなんでしょうか……?

最後。
別の記事でも触れましたが、エードーノス人の王リュクールゴスの最期にかんする描写。

(彼=リュクールゴス)

エードーノス人はこれを聞いて、彼をパンガイオン山に連れて行って縛った。そこで彼はディオニューソスの意志によって馬にめちゃめちゃにされて死んだ

アポロドーロス著 高津春繫訳『ギリシア神話』、岩波文庫、1954 第三巻,Ⅴ,1

馬にめちゃめちゃにされて死んだ。

めちゃめちゃにされて死んだ。

これ、個人的にツボ。
古い言葉ではないし、むしろ現代の口語すぎてびっくりしました。

こういう海外の古典を買うぞっていうとき、やっぱり新訳があるとそっちを読みたくなるじゃないですか。
新しい本の方が読みやすい気がするから。

でも原語のテクストは作成当時からある程度不変なわけで、当然新しい訳の方が正しいというわけでもありません。

(話が逸れるけど、光文社古典新訳文庫は文章読みやすくてありがたいのに、あの表紙のせいで避けてしまう。なんだあのぐにょぐにょ糸人間は)

こうやって面白い言葉に触れられるのも昔の訳本の楽しいところ。

大学で勉強をすると、「訳本じゃなくて原典で読みましょう」と言われます。
もちろん私もそれが良いと思い必死にギリシア語や西欧諸語にかじりついていますが、訳文ならではの面白さってありますよね。

「相撲った」とか「めちゃくちゃにされた」とかって原語だと何なんだろう。
調べたらまた雑記として書きます。

以上、雑記でした。お付き合いくださりありがとうございました。

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