こんにちは、すずきです。
新年を迎え数日経ちました。
今年の抱負を立てるうえで、やはり「このブログの更新頻度を上げる」というのが、出てきました。
理想としては毎日更新なのですが、内容に凝るといきなり毎日更新は厳しいものがあります。
正直言いますと、神話に関するブログやサイトというのは既に溢れています。その中で独自の色を出そうとすると、神話の内容紹介に留まらず、現代の創作物への関わりや、学問的な視点、自分の考えなども入れて、内容を濃くしていきたくなります。
するとやはりある程度の時間がかかります。
とはいえ今は、まず続けること。
自分の中で、毎日更新を習慣化することを第一に優先させていただきますので、雑記だったり薄い内容だったりしますが、更新したいと思います。
質のためにはまず量から、とはよく言ったものですね。
雑記:アスクレピオスについて
ということで、今日の雑記。
昨日の虫歯治療で歯が痛みます。そして歯と言えば思い出すことがあります。
昨年の秋頃、JR神田駅のホームで電車を待っていると、とある看板が目につきました。
「歯科アスクレピオス」
それを見て瞬時に、「歯科……アスクレピオス!?」と驚愕&大笑い。
今は閉院してしまったそうですが、こんなところにもギリシア神話が発見されました。
アスクレピオスはギリシア神話の医学の神です。
もともとは人間だったのですが、死後、彼の偉大な功績がたたえられ、天に上げられました。
WHOのマークに用いられている、蛇が巻き付いた杖はアスクレピオスの代名詞ですね。
ざっくりアスクレピオス
彼の父はアポローン神、母はコロニスという人間の女性。つまり半神です。
母コロニスのお父さんはプレギュアスさん。彼はラピタイ族の王でした。
ラピタイ族と言いますと、テッサリア地方の民族ですから、アスクレピオスくんもそちらの地域で生まれました。
テッサリア地方で医術に秀でているというと、先の記事でも挙げたように、賢者ケイロンさんがいます。
アスクレピオスはケイロンの下で教えを受け、とりわけ医術の才能を開花させていきました。
振り返ってみれば、ケイロンはアポローン神の養子として医術の才能を育てられています。
一方、アスクレピオスも実父がアポローン神なので、二人は兄弟的な師弟だったといえるでしょう。
アスクレピオスはアテナ女神からゴルゴンの血をもらっていました。
ゴルゴンの血は特殊な血で、使い方次第では、死も生ももたらすことができます。
それを使ってアスクレピオスは死者蘇生までやってのけるのです。
やりすぎちゃったアスクレピオス
こうして多くの人々を救ったアスクレピオスですが、死者蘇生は流石にやり過ぎだったようです。
ギリシア神話で大切なのは「神と人間の運命(モイラ)の違い」です。
つまり神は不死なのに対し、人間は死すべき定め。
アスクレピオスの行いは、この最も大切な差を越境するようなものでした。
まず怒ったのは冥界の王ハデス。
「人が死ななくなったら、冥界に誰も来なくなるよな? そしたら俺は何をすればいいのって話」
「だよな、やっぱよくないよ」
その訴えをゼウスが聞き入れて、ゼウスはその雷でアスクレピオスを殺してしまいます。
父であるアポローンは彼の死を悲しみ、キュクロプスたちを殺します。
……なぜ、ここでキュクロプス? となりますが、ちゃんと理由があります。
天空神ウラノスから生まれたキュクロプスたちは一つ目の巨人として有名ですが、ゼウスに雷霆を作ってあげたのが彼らでした。
ゼウスが息子を殺した! となったとき、ゼウスは最高神だし逆らえないからと、その手段をゼウスに与えたやつらを殺したというわけです。
キュクロプスからしたらとばっちりじゃないですかね。
武器を作った人は、その武器がどのように使われるかとは別問題ですし。
犯行に使われた凶器は、このスーパーで購入された……このスーパーを訴えろ! みたいな。
それにゼウスはその雷霆でこれまでもこれからも多くの命を奪っていますので、今更殺されても……キュクロプスたち可哀想。
話は戻して、アスクレピオス。
死者蘇生というタブーを犯したものの、彼の行動は善意ゆえですし、偉大な功績をあげています。
そのため殺された後、晴れて神々の仲間として迎えられます。アポローンもそれで納得しました。
アスクレピオスは神々の一員として、再生します。
まさに彼の代名詞、再生の象徴である蛇と一致しますね。
アスクレピオス信仰
アスクレピオス信仰はアテナイでも盛んでしたが、エピダウロスという地域で栄えました。
エピダウロスこそがアスクレピオスの生誕地だという異伝もあります。
アスクレピオスを祀る巨大な聖域もありました。
そこでアスクレピオスの末裔を語る医師団「アスクレピアデス」が活躍したそうです。
おわり
うんうん。なるほど、アスクレピオスは死者蘇生もできたほどの凄腕の医神なわけね。
……。
歯科にアスクレピオスを背負わせるのは、いささか重すぎやしませんかね……。
私のゴリゴリ削られた奥歯も、アスクレピオスの如く、再生してくれるとありがたいです。
ここまでお付き合いくださりありがとうございました。
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