後編スタートです
こんにちは、すずきです。
前編に引き続いて、後編では、古代のギリシア・ローマ詩人が記したギリシア神話集を見ていきましょう。これらを読めば、だいたいギリシア神話は目を通したと言えます。
前編はこちらから。
前編ではホメーロスとヘシオドスの作品をそれぞれ二つずつご紹介しました。
二人の功績はすごいので、これで十分な気もしますが、ダメ押しでいくらかご紹介します。
アポロドーロス『ギリシア神話』
原題はビブリオテーケー。
つまり単に「物語集」を意味するが、内容はギリシア神話に関わるもの。
こちらはアポロドーロスが、当時に伝わるギリシア神話をまとめ上げたものです。
ヘシオドスとは違い、強く自分を出すことも無く、かといってホメーロスのような物語調でも無く、淡々と神話のエピソードが語られます。
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ヒュギーヌス『ギリシャ神話集』
こちらはローマのヒュギーヌスがまとめたギリシア神話集。
こちらもアポロドーロスのと同様に原題が意味するところは「物語集」。
その最大の特徴は一話あたりの短さにあります。
一つのテーマ、あるいは一人のキャラクターに一話分の焦点を当てており、一つひとつのまとまりがさくっと一分もかからずに読めてしまう長さのものがほとんどです。
ほんとこういうのありがたい。こちらも淡々と語る系です。
オウィディウス『変身物語』
ローマの詩人オウィディウスが、伝えられているギリシア・ローマ神話を「変身」メタモルフォーゼという観点でまとめたもの。
神話に数多くある〇〇から△△に変わったというような変身譚をたくさん掲載。
ともすれば、多くは起源神話になり、今私たちが目にする種々のものに対し、昔の人はこのように縁起を考えていたのかと学べます。
最近新訳が出ました。ありがとう。
神々の名前がギリシア名ではなく、ローマ名になってるので照らし合わせながら読むとよしです。
先ほど上げた物語集たちの無味乾燥さと比べるとなんとも詩的で叙情的な雰囲気のある『変身物語』ですので、こちらの方が文学としては楽しいかなと思います。
アポロニオス『アルゴナウティカ』
こちらは物語集ではなく、主人公イアソンの英雄譚を題材にした長編詩です。
紀元前三世紀のギリシアの叙事詩人アポロニオスが著しました。
アルゴー船の冒険とも言われることも多いですが、簡単に言うと、英雄たち盛り合わせの大航海アドベンチャーです。
目指すお宝は黄金の羊毛。イアソンはそれを持ち帰って王の地位を継承するために各国から英雄を招集します。
アルゴスさんが作ったアルゴー船に乗り込んだ英雄は総勢五十名。アルゴナウタイと複数形で呼ばれます。
神話上の時間軸では、この冒険はトロイア戦争の一つ前の時期に位置します。
つまり、アルゴナウタイとして活躍した英雄たちを父に持つ、子の世代がトロイア戦争で頑張っています。
同じ英雄譚ですが、『イーリアス』『オデュッセイア』よりも短いので読みやすいのもありがたいポイントです。
おわりに
ざっくりこんなもんですかね。
全部文庫になっているので中古でまとめて買って本棚に置いておきましょう。また京都大学出版会さんが出している西洋古典叢書でも出ていますが、高いのでこれらは図書館で参照するくらいが個人的にはベストです。あれがずらっと並ぶ本棚はかっこいいですけどね。
さて、こういうのを読んでいくと、固有名詞のカタカナの多さにはぎょっとしますが、どの本もありがたいことに索引がついているので、そちらを引きながら、同じ人物がそれぞれの作品でどのように記されているのかを読み比べられます。
もちろんギリシア神話は異伝のオンパレードなので混乱することもあるけれど、それを含めて楽しめますね。
紹介したものの中から一冊選ぶとすると、やはりヒュギーヌスの『ギリシャ神話集』です。著者自身、大衆に広く読んでもらうために、一つひとつのパートをあえて短く簡潔にしたそうなので(文庫版訳者解説より)ライトに読むにはこれ以上ないと思います。
ありがとうヒュギーヌス。ありがとう数多くの訳者たち。
というか本にしてくれて言葉で残してくれてありがとう、数多くの詩人たち。
宗教の伝達において、口承伝承でしか保てない神聖さ、テキスト化することで失われる神聖さはあるだろうけれど、今こうして数千年も昔の信仰に触れられるのは文字のおかげです。
理性と感性に感謝。もろもろもの神々と人々に感謝。
ここまで読んでくださりありがとうございました。
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